
自治体や観光業界・商業施設・広告業界に共通する課題は、来訪者の総数や属性を正確に把握することです。また、年々増加する訪日外国人(インバウンド)の来訪状況を分析し、その属性や動向を可視化することでインバウンド需要を取り込むことも、今や重要な課題となっています。従来の統計やアンケートでは十分な精度が得られず、施策立案に限界がありました。しかしスマートフォンの普及により、位置情報を活用した人流データがリアルタイムかつ高精度で取得可能となり、マーケティングや観光DX、まちづくりに必要な情報源となっています。これにより、出店戦略やイベント集客、観光地の混雑緩和など、ターゲットに応じた施策が可能です。本記事では、人流データの特徴や活用事例、アンケートとの組み合わせによる精度向上、さらに施設情報との連携によるプロモーションへの応用を詳しく解説します。
人流データとは?注目の理由と活用メリット
人流データとは、スマートフォンの位置情報をもとに、人々の移動や滞在状況、属性等を把握するデータです。主に通信キャリアの基地局データやアプリのGPSデータから取得されます。近年注目される理由は、人流データ分析により、国内居住者については性別・年代・居住地を判別でき、訪日外国人(インバウンド)については居住国・地域を時系列で把握できる点にあります。これにより、ターゲット別の戦略立案が可能となり、マーケティング精度の向上、観光施策の最適化、まちづくりの効率化など、データに基づく高度な意思決定(EBPM)が目指せます。すでに多くの自治体や企業で活用が進んでおり、その重要性は今後ますます高まると考えられます。
人流データの取得方法と特徴
人流データは主に、通信キャリアの基地局データとアプリのGPSデータから取得されます。前者は広範囲の人流総数と属性を把握するのに適し、後者は特定エリアの滞在状況や移動経路の詳細分析に有効です。取得できるデータはリアルタイムから過去に遡ってまで幅広く分析できます。また、拡大推計により推定人数を算出し、属性情報として国内では性別・年代・居住地、訪日外国人(インバウンド)では居住国・地域まで判別可能です。これらの位置情報は個人が特定できない統計データとして提供され、プライバシーにも十分配慮されています。こうした特徴により、人流データはマーケティングや観光戦略、まちづくりにおいて信頼性の高い意思決定を支える基盤となっています。
活用分野別の人流分析事例
人流データは、さまざまな領域で具体的な価値を生み出しています。
- マーケティング領域では、商業施設の人流データ分析(来訪者分析)に活用され、来訪者の性別・年代・居住地といった属性を把握することで、リーシングの基礎資料やイベント企画に役立ちます。また、イベント開催時と平常時の人出を比較することで、イベント効果を可視化することも可能です。
- まちづくり領域では、中心市街地の活性化を目的に、来訪者や居住者の属性を分析し、サイクルポート設置場所の最適化や再開発による人流変化の把握、KPI設定の基礎資料として活用されています。
- 観光領域では、人流データによる観光人流分析を通じて、国内居住者はもちろん、訪日外国人の滞在傾向(日帰りか宿泊か)や居住国・地域を把握し、受入環境整備やプロモーション施策の基礎データとして、インバウンド需要の取り込みに役立てられています。
こうした活用により、データに基づく精度の高い意思決定(EBPM)が可能になります。
人流データ活用のメリットと課題
人流データ導入の最大のメリットは、データに基づく精度の高い意思決定(EBPM)が可能になる点です。従来の定点観測やアンケート調査といった人海戦術に比べ、大幅なコスト削減も期待できます。さらに、弊社が保有する施設情報「iタウンページデータベース」と人流データを掛け合わせることで、「誰が・いつ・どこへ」移動したのかを可視化し、精緻なエリアマーケティングを目指せます。加えて、年々増加するインバウンド(訪日外国人)需要の取り込みにも有効で、観光施策やプロモーション戦略に直結します。一方で課題もあります。データの偏りやサンプルサイズは統計精度に直結するため、国内居住者・訪日外国人ともに適切なデータ選定が推奨されています。特に訪日外国人データは、一部の国・地域で取得が困難な場合や判別ロジックの不透明さがあるため、信頼性を十分に吟味した上で活用することが重要です。
アンケート×人流データで施策評価を高度化
行動データ(スマートフォンの位置情報から得られる人流データ)と意識データ(アンケート調査による回答)を組み合わせることで、従来は見えなかった来訪者の「なぜ」を解明し、高度な施策評価が可能になります。従来の統計データや経験則に頼った施策評価では見えなかった洞察が、データ活用により得られるのです。例えば、特定のイベント開催地に過去に来訪した人を抽出しアンケートを実施すれば、イベントの真の効果や課題を定量的に把握できます。このようにデータドリブンな来訪者分析によって、マーケティング施策や観光施策の改善点を客観的に把握でき、根拠に基づく戦略立案(EBPM)につながります。さらに、こうしたデータ活用は観光DXにも貢献し、地域戦略を強化する鍵となります。
人流データを活用したターゲット抽出
人流データを活用したアンケート調査の最大の利点は、過去の行動履歴に基づいて調査対象を正確にターゲティングできる点です。特定の期間やエリアに滞在していた人を絞り込めるため、イベント来場者、商業施設の利用者、さらには観光目的でその地域を訪れた層もターゲットに調査できます。さらに、人流データが持つ性別・年代・居住地といった属性情報を活用(国内居住者のみで、訪日外国人は含まれません)すれば、狙いたいターゲット層を細かく絞り込むことも可能です。これにより、従来の無作為抽出の調査と比べて精度が格段に向上し、マーケティングや施策評価に直結するデータを効率的に収集できます。ターゲットを明確に定めた調査は、広告戦略やプロモーション施策の改善にも大きく貢献します。
消費傾向と来訪目的を分析し戦略を強化
人流データとアンケート調査の組み合わせにより、行動履歴に加えて購買目的や満足度、消費額といった意識データを取得できます。商業施設では、来訪者が「なぜその場所を選んだか」「どのような目的で訪れたか」を把握することで、イベント効果や集客戦略を定量的に評価できます。観光地では、人流データに基づく観光人流分析で滞在目的やニーズ、消費額を明確化し、受入環境の整備やプロモーション施策に役立てられます。また、これらのデータ活用は観光DX(観光分野のデジタル変革)の推進にも寄与します。こうした分析から得られる洞察は、新たなニーズの発掘や課題の発見につながり、マーケティングやまちづくりにおける意思決定をより精緻化します。
EBPMの実践と観光DXへの寄与
行動データと意識データを活用した客観的な施策評価は、EBPM(証拠に基づく政策立案)の推進に大きく寄与します。客観的なエビデンスをもとに施策の改善を図ることで、勘や経験に頼った従来手法よりも格段に説得力のある政策決定が可能になります。例えば、自治体の観光施策でもデータ分析結果を踏まえて効果検証と改善を繰り返せば、施策効果を最大化できるでしょう。観光以外の分野でも、中心市街地の活性化策や交通計画などで、人流データ分析に基づくEBPMが有効に機能しており、データに基づく政策判断の重要性が広く認識されつつあります。こうしたデータ主導の手法は、まさにEBPMの実践であり、観光DXの柱ともなる取り組みです。
人流データと施設情報を活用した高精度プロモーション
Cookie規制の強化に伴い、従来型のオンライン広告はターゲティング精度の低下に直面し、Cookieレス広告への対応が課題となっています。こうした中、スマートフォンの位置情報データから得られる人流データと、NTTタウンページが保有する国内最大級の施設情報データベースを組み合わせることで、実世界の行動履歴に基づく高精度なプロモーションターゲティングが可能になります。特定エリアに訪れたユーザーや、特定のライフスタイルを持つペルソナに対して最適な情報を配信することで、マーケティング施策の効果を最大化し、ROI(費用対効果)を大きく向上させることができます。また、これはオフラインデータを活用した新たなマーケティング手法としても注目されています。
行動履歴と属性情報を活用した精緻なターゲティング
スマートフォンの位置情報から得た人流データと施設情報を組み合わせることで、ユーザーの行動履歴に基づいた精度の高いターゲティングが可能です。例えば、特定の商業施設や観光地を訪れたユーザーに再来訪を促すキャンペーンを配信したり、イベント来場者に関連サービスを訴求したりすることができます。さらに、性別・年代・居住地などのユーザー属性情報を掛け合わせれば、ターゲットを一層精緻に絞り込むことも可能です。国内最大級の施設情報データベースと約1億人規模の配信母数を活用すれば、地域や属性に偏りなく網羅的なプロモーションを可能にします。これにより、見込み客を漏れなくカバーするプロモーション展開も可能となるのです。
ペルソナ分析でメッセージを最適化
行動データにアンケート調査で得られた意識データを組み合わせることで、プロモーションメッセージをユーザー一人ひとりに応じてきめ細かくパーソナライズすることが可能です。購買目的や満足度、趣味嗜好などを分析し、ライフスタイルに合わせたペルソナを設定することで、一層効果的な訴求が可能になります。例えば、富裕層向けのブランドキャンペーンや子育て世代向けの住宅関連サービスなど、ターゲットのニーズに沿った情報提供ができます。こうしたデータドリブンなプロモーションによって、施策効果は最大化され、ROIの大幅な改善にも直結します。さらに、Cookieレス時代の企業マーケティングを強力に支援する手法でもあります。
データに基づくプロモーション効果測定
人流データを活用すれば、プロモーション施策の効果を定量的に測定し、KPIとして可視化することができます。例えば、キャンペーン実施前後で特定店舗への来訪者数の推移を比較したり、ターゲットユーザーの再来訪率を分析したりすることで、施策の実際のインパクトを把握できます。このように、データに基づく効果検証により、どの施策が有効かを見極め、改善すべき点も洗い出して、次のターゲティング戦略に活かすことができます。定量的なエビデンスに裏付けられたPDCAサイクルを回すことで、プロモーションの精度とROIを継続的かつ着実に高めることにつながります。無駄な投資を抑え、効率的な予算配分が可能になる点も大きなメリットと言えるでしょう。
人流データ(位置情報データ)の活用は、自治体の政策立案から観光地のプロモーション、大型商業施設の戦略立案に至るまで、EBPMや観光DXの実現を支える強力な基盤となります。従来の定性調査や経験則に頼るだけでは得られなかった「リアルな人の動き」や「意識の背景」を可視化することで、施策の精度と再現性が格段に向上します。さらに、アンケート調査との組み合わせにより行動理由を深掘りし、プロモーションではCookieレス広告に代わる新たなターゲティング手法として機能します。NTTタウンページが保有する国内最大級の施設情報データベースと連携させることで、地域特性に応じた高精度なエリアマーケティングも可能になります。今後はAIによる予測分析やリアルタイム配信など、さらなる進化が期待されており、データを活用した戦略設計は、もはや選択肢ではなく必須のアプローチと言えるでしょう。
2025年12月執筆

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