神社と地域のつながりが大切。
神社都道府県別登録件数ランキング
新年が明けて、神社に初詣に行かれた方も多いのではないでしょうか。
日本固有の宗教で、神道の信仰に基づく祭祀施設である神社、地方では人口減少や少子高齢化が進み、神社の収入源である氏子の数が少なくなっており、地域住民の氏子意識が薄れています。
一つの神社の運営だけでは経済的に苦しいため、複数の神社の運営を行っていたり、他で働きながら運営を続けている神社が多いのが実情です。
後継者問題も深刻化しており、その上コロナウイルスの感染拡大を受けて、参拝者の減少がさらに進みました。
今回は、全国の神社の登録件数から業界の状況を考察し、どの地域に神社が多いのかを都道府県別に調査しました。
コロナウイルスによる参拝者数の減少も影響か?
「神社」登録件数推移
2013年から2022年までの全国の神社の登録件数の推移データをご紹介します。
出典:「タウンページデータベース」(NTT東日本・NTT西日本)NTTタウンページ株式会社調べ
10年間の神社登録件数の推移を見てみると、右肩下がりで神社の減少に歯止めがかからない様子が見受けられます。2013年から2019年までは平均約150件ずつ減少していた神社ですが、コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、2020年〜2022年の平均減少数は約180件を記録しています。
全国的に地方の神社の運営が年々厳しさを増している状況に追い討ちをかけるようにして、コロナウイルスの影響が出ていると思われます。
神社の収入源は、主なもので祈祷料や賽銭、氏子費用があります。祈祷料は、冠婚葬祭で神社による祭祀祈祷やお祓いを実施した際の神社への奉納金です。
また、神社は地域の住民のサポートを受けて運営維持されるものであるため、地域住民から神社維持費として氏子費用を町内会費と同じように徴収しています。
しかし、地方の人口減少や少子高齢化が進み、神社へ奉納する人は働く現役世代の人々ではなく、年金暮らしの高齢者に変わりました。その影響で神社の収益は伸び悩むどころか年々減少することになり、苦しい経済状況に陥っているのです。
そんな状況ですから、建物や建造物の老朽化への対策もできません。氏子として支える人がほとんどおらず、運営者も高齢で宗教活動が実施されていない神社は不活動神社と呼ばれていますが、地方にあるほとんどの神社は不活動神社であるとも言われています。
複数の神社を一人の神官が運営しているのは、自身の生活の糧にするのはもちろんですが、不活動神社を維持する目的もあります。
こうした状況の中、コロナウイルス感染拡大による影響は深刻さを増すばかりです。行動規制から神社への参拝は減り、祭事の中止などで奉納金収入も途絶えてしまいます。
神社登録件数3年連続トップはあの県だった!
ここでは2020年から2022年にかけての都道府県別神社の登録件数と10万人あたりの神社の件数の調査結果をご紹介します。
出典:「タウンページデータベース」(NTT東日本・NTT西日本)NTTタウンページ株式会社調べ
人口10万人あたりの神社の登録件数の多い地域は、1位が10万人あたり18.77件の島根県、2位が10万人あたり14.90件で山口県、3位は10万人あたり14.09件で鳥取県でした。
1位の島根県は、2020年から3連続で1位にランクインしています。神社登録件数は2020年に136件、2021年に132件、2022年に126件と毎年減少が続いておりますが、10万人あたりの登録件数では2位と大きく差が開いています。
2位の山口県も3年連続で同順位を獲得しています。ただし、3位との差はそこまで大きくないため、状況によっては順位を下げる可能性は十分あります。
3位の鳥取県は2021年に和歌山県に10万人あたり件数で順位を譲りましたが、2022年は再度3位に浮上しています。
鳥取県は、ランキングTOP10の中で唯一神社の登録件数が増えた県でもあります。
10万人あたり13.66件で4位の和歌山県は、3位の鳥取県と例年熾烈な順位の入れ替え争いをしています。
10万人あたり12.29件で7位に位置する愛媛県は、2021年と神社の登録件数は変わりませんでしたが、他県の件数が減少を続けているため、10位から急浮上しました。
【1位】島根県
10万人あたりの神社登録件数18.77件で島根県が全国1位となりました。島根県は伊勢神宮に並ぶ古社である出雲大社のある県です。
出雲大社は日本一の縁結びの神様と言われる大国主大神を祀っており、年間を通して多くの祭事がおこなわれます。また出雲大社は60年に一度、遷宮(御社殿を修造すること。
本来の意味では、神様を従来の御社殿から新しい御社殿へお還りいただくこと。)が行われることでも有名で、平成20年には「平成の大遷宮」として多くの人が訪れました。
【2位】山口県
山口県は3年連続で神社登録件数2位を獲得しています。壇ノ浦古戦場など歴史的な名所も点在しており、日本三大天神に数えられる防府天満宮は日本最古の天神様と言われています。海外でも絶景として話題になった元乃隅神社や日本名水に選ばれた池のある別府厳島神社もあります。
【3位】鳥取県
鳥取県にも歴史的に価値のある神社が点在しています。古事記に登場する白兎を祀る白兎神社、明治や昭和の紙幣に何度も図柄が採用された宇倍神社、水木しげるロードにある妖怪神社などです。
減少傾向の中「御朱印ブーム」による人気も
運営に苦慮する神社が多い中、救いとなる可能性を秘めているのが御朱印です。御朱印とは、神社で参拝した証として受け取ることができる神仏とのご縁の記録のことで、神社の朱印を押した和紙に参拝日などが墨書きされます。
人気の神社では事前に御朱印が押された和紙が用意されていることがありますが、基本的には指定の料金を納めて神社で用意している御朱印帳を受け取り、その御朱印帳に記入してもらいます。
各神社によって御朱印や御朱印帳には特徴の違いがあるため、老若男女問わず神社巡りをする際の楽しみの一つとなっています。
10年以上ブームが続いている御朱印以外にもさまざまなアイデアと工夫で生き残りを模索し、参拝客を増やそうと努めています。
まとめ
登録件数の減少が止まらない全国の神社ですが、御朱印ブームが回復のキッカケとして注目されています。パワースポット巡りの延長として御朱印ブームが生まれましたが、現代においては神社に特化したインフルエンサーも登場し、徐々に神社が注目される機会も増えてきました。
ただし、御朱印ブームや神社巡りブームの恩恵を受けられるのは、ある程度知名度があり、ご利益に対する信頼性の高い神社に限られ、地方の過疎地域の神社にとっては少子高齢化という根本的な原因に悩まされる状況は続いています。
そうした悩みを抱える神社同士が合祀・合併するケースも増えており、神社存続のための道筋が模索されています。
タウンページデータベースではさまざまな統計データを用意しており、事業活動に関する分析やデータの有効活用が可能です。ぜひご相談ください。
2023年1月執筆
【調査概要】
都道府県別 人口約10万人に対する「神社」の登録件数分布及び年別の推移を掲載しています。
■対象期間と抽出方法:2020年・2021年・2022年の各4月時点で、タウンページデータベースの業種分類「神社」に登録されている件数を集計し算出。
※1人当たりの登録件数は、小数点以下数桁になるため10万人換算をしています。
タウンページデータベースに関する紹介資料もご用意しております。ぜひこちらも合わせてご覧ください。
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