
人材採用において、求人広告を出稿している企業は数多くあります。しかし、一言で「求人広告」と言っても、種類がさまざまあり、どれにすべきか迷ってしまうこともあるでしょう。そもそも求人広告ではなく、ほかの採用方法の方が適しているというケースも考えられます。
この記事では、求人広告と求人広告以外の採用方法それぞれのメリット・デメリット、それぞれの求人広告の種類に対して向いている企業を紹介します。自社が求人広告を出すべきなのかを検討し、出すとしたらどの求人広告を出せば良いのかを判断する際にお役立てください。
求人広告と求人広告以外の採用方法
それぞれのメリット・デメリット
この章では求人広告と求人広告以外の採用方法を、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて紹介します。それぞれのメリット・デメリットは表でまとめております。自社に向いている採用方法を判断する際にお役立てください。
▼採用方法例
採用方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
求人広告 | ・多くの求職者に見てもらえる ・広告配信エリアを全国から特定の地域まで自由に選べる ・自社に適した求人広告を選べば、求める条件に合う人材をピンポイントで採用できる可能性が高い | ・採用できなかったとしても一定のコストがかかる ・多くの応募が集まる可能性があり、採用担当者の負担が大きくなる可能性がある |
自社Webサイト | 低コストで手軽に求人が出せる | 自社に興味のない人材には情報が届きにくい |
ハローワーク | ・無料で求人が出せる ・幅広い年代に求人を見てもらえる | 掲載企業が多く、自社の求人が埋もれる可能性がある |
人材派遣/紹介 | ・自社の人的コストを削減できる ・非公開で求人募集できる | ・条件に合う登録者が少ない場合、なかなか紹介してもらえない ・求人広告よりも採用コストがかかる |
それぞれの採用方法について、以下で詳しく解説します。
求人広告
求人広告は、求人情報サイトやフリーペーパーといった求人広告媒体に料金を支払い、求人情報を掲載してもらうことで人材を獲得する方法です。
▼メリット
・多くの求職者に見てもらえる
・広告配信エリアを全国から特定の地域まで自由に選べる
・自社に適した求人広告を選べば、求める条件に合う人材をピンポイントで採用できる可能性が高い
▼デメリット
・求人の掲載料などが先行投資のため、採用できなかったとしても一定のコストがかかる
求人広告は多くの人に見てもらうことができるため、必然的に応募数の増加が見込めます。ただ、その分欲しい人材を明確化し、その人材に絞った求人広告を出さなければ、応募数がいたずらに増えてしまい採用担当者の負担が大きくなってしまうでしょう。
求人広告以外の採用方法
求人広告以外の一般的な採用方法は、主に以下の3つです。
・自社Webサイト
・ハローワーク
・人材派遣/紹介
この章では、その3つの採用方法のメリット・デメリットについて解説します。
自社Webサイト
自社のWebサイトに求人情報を記載したり、採用ページやサイトを自社で設けたりする方法です。以下にメリット・デメリットをまとめています。
▼メリット
自社Webサイト内での掲載なので低コストで手軽に求人が出せる
▼デメリット
「この会社に勤めたい」という強い動機を持っていないとWebサイトを閲覧してもらえないため、自社に興味のない求職者には情報が届きにくい
自社Webサイトは手軽に求人が出せる一方で、自社に強い興味をもった人しか訪問しません。求職者の多くは別の媒体で求人情報を見てから、応募する前に企業の自社Webサイトで情報収集をする目的で流入します。そのため、サイト内に先輩社員のインタビューや1日の業務の流れなど「働くイメージ」ができる内容を盛り込むことが大切です。
ハローワーク
ハローワークは、厚生労働省が運営する公的な就職支援機関です。地域のハローワークやインターネットで事業所情報を登録し、求人情報を掲載します。
▼メリット
・無料で求人が出せる
・若年層から高年層まで幅広い年代の求職者に見てもらえる
▼デメリット
・掲載している企業が多い分、自社の求人が埋もれてしまう可能性がある
・自社が欲しい人材を獲得できない可能性がある
ハローワークは、無料で求人が出せる一方で掲載している企業が多いため、自社の求人が埋もれてしまう可能性が高くなります。また、幅広い層に見てもらえはしますが、自社に適した人材のみが応募してくるわけではなく、筆記テストや面接で判断しなければミスマッチが起きかねないことが懸念点です。
人材派遣/紹介
人材派遣/紹介は人材派遣会社に依頼をして、求める条件に合った求職者を紹介してもらうサービスです。
▼メリット
・求人票の作成や応募対応などを人材派遣会社が行うため、自社の人的コストを削減できる
・同業他社に知られたくないのであれば、非公開で求人募集できる
▼デメリット
・求人広告を含むほかの求人方法よりも採用コストが高い
・条件に合う登録者が少ない場合、なかなか紹介してもらえない
人材派遣/紹介は、求人票の作成や応募対応をしてくれることが強みですが、その分採用コストがほかの採用方法と比べて高くなってしまいます。また、条件に合う登録者が少ないと紹介されないことや、念入りに人材要件を話し合わなければ適正の低い人物を紹介されてしまうことが考えられます。
求人広告の種類と向いている企業
求人広告は大きく「Web媒体」と「紙媒体」の2種類に分けられ、2種類それぞれにもまた種類があります。求人広告について、Web媒体の求人広告、紙媒体の求人広告のそれぞれの種類ごとにメリット、デメリットを解説します。
また、自社の求める人材の条件や応募の集め方などの観点から、それぞれの求人広告に向いている企業も合わせて解説します。
▼求人広告一覧

Web媒体
インターネットを使ったWeb媒体の求人広告を3種類紹介します。Web媒体であることから、多くの人への認知が期待できます。Web媒体におけるそれぞれの求人広告のメリット、デメリット、向いている企業をまとめています。
・求人情報サイト
・Web広告
・SNS広告
求人情報サイト
企業の求人情報が掲載されているWebサイトに掲載してもらう方法です。現在の求人広告の主流で、求職者は職種や希望勤務地などの希望する条件を定めて、求人情報を検索して応募先を検討します。具体例としては、リクナビやマイナビなどです。
▼メリット
利用者が多いため多くの求職者に見てもらえることで、情報収集を行う転職潜在層にもアピールできる
▼デメリット
掲載する企業数が多いため、中小企業や地方企業は、大手の有名企業や都市圏の企業に比べて選ばれにくい傾向にある
▼向いている企業
多くの人から認知されるため、多くの応募を集めたい企業
金額がかさむ傾向にあるため、求人に予算をある程度使える企業
Web広告
Googleなどの検索結果の上部やWebサイト上に広告枠を表示する方法です。ユーザーの検索に合わせて表示する「リスティング広告」や、バナー画像を表示する「ディスプレイ広告」などがあります。
▼メリット
ターゲットを定めて配信可能であり、求める求人の要件(採用ターゲット)を適切に設定できれば、理想の人材に見てもらえる可能性が高い
▼デメリット
求職者はワンクリックで気軽に応募できるため、応募のハードルが下がる反面、直前のキャンセルにつながりやすい
▼向いている企業
勤務エリアや職種、雇用形態など譲れない採用条件がある企業(条件に合う人材にピンポイントに情報を届けられるため)
SNS広告
InstagramやX(旧twitter)などのSNSに求人広告を表示する方法です。
▼メリット
SNSは個人の趣味や好みが強く反映され、行動範囲や人間関係も見えるため、採用ターゲットを適切に設定できれば、より理想に近い人材に見てもらえる可能性が高い
▼デメリット
・各SNSでユーザーやコンテンツの特徴が異なり、媒体選びや効果的な広告コンテンツ作りが難しい
・企業のイメージによっては、SNSでの採用活動がマッチしない可能性がある
▼向いている企業
・求職者の属性や興味関心などについて採用条件がある企業。(条件に合う人材にピンポイントに情報を届けられるため)
・採用期間に余裕がある企業(効果が出るために時間がかかるため)
紙媒体
出版物やチラシなどの紙媒体の求人広告を3種類紹介します。紙媒体であれば、特定の地域に効率的にアプローチが可能です。紙媒体におけるそれぞれの求人広告のメリット、デメリット、向いている企業をまとめています。
・求人情報誌
・フリーペーパー
・折り込みチラシ
求人情報誌
コンビニエンスストアや書店、駅などで販売される有料の冊子に求人を掲載する方法です。
▼メリット
ページを開けば求人が一覧で見られるため、Web媒体に比べて求人が目に留まる可能性が高い
▼デメリット
求人広告の主要媒体がWebに移行した現在、求人情報誌を手にとる求職者は以前に比べて少ない。掲載後の内容修正ができない
▼向いている企業
特定のエリア内で応募を集めたい企業
フリーペーパー
主に特定地域で配布される無料の求人情報誌に求人を掲載する方法です(企業の掲載料は有料)。コンビニエンスストアや駅、スーパーマーケットなどに置かれていて、求職者は無料で持ち帰ることができます。
▼メリット
特定のエリア内に絞って求人情報が出せる
▼デメリット
・有料の求人情報誌と比べてページ数が少なめで、掲載できる求人情報には限りがある
・掲載後の内容修正ができない
▼向いている企業
アルバイトやパートタイマーの求人を出したい企業。(読者層はアルバイトなどの求職者が多いため)
アルバイトやパートタイマーの求人を出したい企業。(読者層はアルバイトなどの求職者が多いため) |
折り込みチラシ
新聞の折り込みチラシに求人広告のチラシを出す方法です。
▼メリット
配達エリア内の多くの人の目に留まりやすい
▼デメリット
新聞の購読率は年々低下しているため、求人広告としての効果は以前より薄れている
▼向いている企業
定年後の再就職を希望する50~60代(新聞の購読率が高い層)の経験者を採用したい企業
求人広告で採用を成功させる3つのステップ
求人広告で成果を上げるには、求める人材に合った求人広告を選ぶことが重要です。そのためには「採用ターゲット」を設定すると良いでしょう。
採用ターゲットを具体化することで、そのターゲットの特徴に合った求人広告の選択・公開範囲の設定が可能です。例えば、採用ターゲットを東京勤務ができて、営業経験有、30代と決めた場合、ターゲットを設定して広告を表示できるWeb広告が良いと判断するといったものです。その結果、効率的な採用活動につながるでしょう。
この章では、3つのステップに分けて、採用を成功させるターゲットの設定の仕方を例とともに紹介します。
【ステップ1】採用目的を明確にする
採用活動に入る前に、採用目的を明確にすることが大切です。目的を明確にすれば「どのような人材が必要なのか」が分かり、採用すべき人材がおのずと見えてきます。
今後の事業計画などを踏まえて、求職者に担ってもらいたい役割や業務への携わり方などを検討しましょう。
▼採用目的と求める人材の例
- 目的
新規事業の立ち上げ - 求める人材
マネジメントの経験者。類似する業界・事業の経験者
【ステップ2】求める要件を明確にする
求める人材がイメージできたら、より具体的に要件を整理します。具体化しておくことで、求人広告を出稿する際に記載する内容をスムーズに決めることが可能です。
要件は、現在の業務内容や社内で活躍している人材を参考にしながら、以下の項目に沿って整理しましょう。
属性:性別、年齢など
スキル:専門知識、保有する資格など
経験:学歴、職歴など
このほか、性格や人柄、能力などの要件を洗い出すことも有効です。
以下に「トラックドライバーの求人」を例に要件を整理しています。整理する際の参考にしましょう。
▼トラックドライバー求人で求める要件例
項目 | 求める要件 |
---|---|
属性 | 男性、30~40代、関東圏在住 |
スキル | 大型自動車の免許 |
能力 | コミュニケーション能力(取引先とのやり取りがあるため) |
性格・人格 | 冷静、真面目 |
経験 | 運送業界経験者 |
しかし、要件をそのまま応募資格に記載すると、当然ですが当てはまる人が少なくなり、応募数が減少します。そのため、要件は基準として採用担当者が把握し、応募資格には最低限もっていてほしいスキルや経験年数などを記載するようにしましょう。
【ステップ3】採用ターゲットを設定する
求める人材の要件を整理したら、採用ターゲットを設定します。その際、年齢や性別・出身地・家族構成なども想像して具体的に記載しましょう。この内容と自社の状況をもとに、この採用ターゲットに効果的な求人媒体は何かという観点で求人広告を決定します。
以下に示すのは、前の項目で整理した「トラックドライバーの求人」の要件を例に設定した、採用ターゲットの例です。
▼トラックドライバー求人の採用ターゲット例
項目 | 例 |
---|---|
年齢 | 35歳 |
性別 | 男性 |
居住地 | 東京都 |
行動範囲 | 関東圏 |
家族構成 | 妻、息子(小学1年生) |
最終学歴 | 公立大学卒業 |
職歴 | 長距離トラックドライバー |
年収 | 500万円 |
趣味(興味関心) | 休日はドライブ関連のコミュニティー参加、カー用品店で買い物 |
性格 | 真面目 |
これらの情報をもとに、どの求人広告を選択すべきかを判断します。明確なターゲットが定まっているのであれば、ターゲットを絞って効率的に採用活動を実施可能なWeb広告かSNS広告が良いでしょう。Web広告であれば、ターゲットに近い求職者に対して表示するように設定し、SNS広告であれば35歳という年齢からFacebookで出すのが良いかもしれません。後は費用感を鑑みてどちらにするか、またはどちらも行うかを決めると良いでしょう。
まとめ
採用活動を成功させるには、求める人材を明確にし、その人材の採用に合った求人媒体を選ぶことが大切です。適した媒体を選べば、より適性の高い人材と出会える可能性が高まります。
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2023年12月執筆

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