マーケティングにおけるインバウンド、アウトバウンドとは?手法を解説

インバウンドマーケティング

マーケティングでは、「インバウンド」「アウトバウンド」という言葉をよく耳にします。おおまかには理解していても、具体的にどんな手法があるのかわからないという人もいるのではないでしょうか。インバウンドとアウトバウンドという用語は、業界によって少し意味が異なる場合もあります。今回は、マーケティングにおけるインバウンド・アウトバウンドの考え方、それぞれのメリットとデメリット、手法を解説します。

マーケティングにおけるインバウンド、アウトバウンドとは?手法を解説

マーケティングにおけるインバウンドとアウトバウンド

インバウンドとアウトバウンドの概要と、業界による使われ方の違いを解説します。

インバウンドとアウトバウンドの概要

マーケティング領域における基本的な考え方としては、インバウンドは顧客が自分からブランドに関心を持つように誘導する方法、アウトバウンドはブランドが積極的に顧客にアプローチする方法とされています。

【インバウンド(Inbound)】

顧客が自然にブランドや商品・サービスへの関心を持つような流れをつくります。LP(ランディングページ)、eBook、SNS、ブログなどで顧客にとって価値ある情報を提供して「見つけて」もらい、自発的なアクションを促します。
ブランドや企業が有用な情報や、良質なコンテンツを提供することが重要で、それによって顧客を引き寄せます。

【アウトバウンド(Outbound)】

ブランドや商品・サービスをDMやテレマーケティングによって、積極的に顧客にアピールするマーケティングアプローチです。
広告やプロモーション活動など、顧客が自動的に見聞きするコンテンツを使用して企業側がメッセージを送り、それによって購買意欲を喚起します。

業界による使われ方の違い

マーケティング領域での定義は前述のとおりですが、インバウンドとアウトバウンドは、業界によっては別の意味を持つ用語として使われる場合もあります。

■観光業界におけるインバウンドとアウトバウンド

インバウンド観光とは
外国からの観光客や旅行者が国内に訪れることを指します。観光地や施設、観光プロモーションを提供する側では、外国からの旅行者を引き寄せるためのアプローチ策が実施されます。

外国からの観光客や旅行者が国内に訪れることを指します。観光地や施設、観光プロモーションを提供する側では、外国からの旅行者を引き寄せるためのアプローチ策が実施されます。

アウトバウンド観光とは
国内から外国へ旅行することを指します。旅行会社や航空会社は、アウトバウンド観光客に対して旅行パッケージや航空券を提供します。

■コールセンター業界におけるインバウンドとアウトバウンド

インバウンドコールセンター
顧客からの問い合わせを受ける業務部門です。顧客が製品やサービスに関する情報を求めたり、サポートを必要としたりする場合に適宜対応します。

アウトバウンドコールセンター
コールセンターから顧客に通話や連絡を行う業務部門です。顧客に対して発信することで、顧客のアクションを引き出します。具体的には、顧客に対する商品やサービスの販売、市場調査、アポイントメントの設定、アンケート調査などの活動を行います。

マーケティングにおけるインバウンド、
アウトバウンドのメリット

マーケティング領域のインバウンド、アウトバウンドについて、メリットを説明します。

インバウンドのメリット

・高品質なリードの獲得

顧客が自分から関心を持ち情報を探しに来るため、「おすすめ」「売り込み」に対する抵抗感がありません。関心を持つ可能性が高いリード(潜在顧客)を獲得しやすく、情報を提供することでスムーズに優良なリードを獲得することが期待できます。

・信頼性と関係の構築

有用なコンテンツを提供し、顧客の問題やニーズに応えることで、ブランドの信頼性を高めることができます。また、インバウンド施策として良質なコンテンツを構築できれば、それが企業にとって永続的な資産にもなります。

・低コスト

インバウンドマーケティングでは、コンテンツの作成とオンラインプレゼンスの構築に費用がかかりますが、一度作成したコンテンツは長期間にわたって価値を提供し続けます。そのため、長期的な視野で広告コストを考えた場合、比較的安価に抑えられます。

アウトバウンドのメリット

・迅速な結果が得られやすい

企業やブランドから積極的な発信を行うアウトバウンドでは、ニーズやタイミングによっては、効果が比較的速く現れることが期待できます。例えば、テレマーケティングやメールマーケティングによる情報提供が的確であれば、直ちに顧客の関心を引き、成果へとつながるでしょう。

・ブランド認知度の向上

広告を使用することで、不特定多数に向けてブランドの認知度を高めるのに役立ちます。多くの人々にブランド名やメッセージを広める機会となり、潜在的な顧客候補の層を拡大します。

・特定のターゲットに焦点を当てられる

アウトバウンド施策によっては、特定のターゲットに焦点を合わせることも可能です。例えば、製品の提供開始、限定プロモーション、季節別の販売促進イベントなど、商品やサービスのターゲット層を絞り込んでアプローチします。目的が明確であるため、ターゲットの欲求とうまくマッチすれば高い訴求効果が得られるでしょう。

・特定のターゲットに焦点を当てられる

マーケティングにおけるインバウンド、
アウトバウンドのデメリット

マーケティング領域のインバウンド、アウトバウンドについて、デメリットを説明します。

インバウンドのデメリット

・時間と忍耐が必要

インバウンドは「待ち」の姿勢であるため、一般的に、効果が現れるまでには時間がかかります。コンテンツの作成、オンラインプレゼンスの構築、もしくはSEOを最適化するといったプロセスを時間をかけて行い、結果を知るまでにはある程度の忍耐が必要です。

・社内リソースへの負担

インバウンドマーケティングに力を入れる企業は多数存在します。競争が厳しいなかで、良質なコンテンツを定期的に提供するためには、多くの時間とリソースが必要です。コンテンツ制作、ソーシャルメディア管理、ブログ更新などの、さまざまな作業が発生するため、社内リソースへの負担を考慮しなければなりません。

・成果の不確実性

インバウンドマーケティングは、確実な有効性を読むのが難しい面があります。効果は顧客の自発的な行動によってのみ判断されるため、投資したリソースと時間に対して、直接的な成果は保証されません。

アウトバウンドのデメリット

・過度な情報発信に配慮が必要

顧客が目にする多くの広告のなかから、自社の広告を印象づけるのが難しくなっています。広告が過度に送信されると、受け手の拒否反応が生じる可能性があり、逆効果となりかねません。

・コストが高い

アウトバウンドマーケティングはインバウンド施策に比べ、広告料金や販促活動に関連するコストが高くなりがちです。特に有効性の高い広告スペースは高額なため、利用する場合はコスト増となります。

・ターゲットの不一致の懸念

認知度拡大に向けては、原則として広い層へのアプローチが必要です。その場合、ターゲットに適していない層も広告を見聞きすることになります。ターゲットから外れた層への広告表示は費用をかけた割には効果が望めず、場合によってはネガティブな印象を与える可能性もあります。

・ターゲットの不一致の懸念

マーケティングにおけるインバウンド、
アウトバウンドの施策手法例

マーケティングにおけるインバウンド、アウトバウンドの施策手法例を紹介します。

インバウンドマーケティングの施策手法例

・SEO(検索エンジン最適化)

SEOは、ウェブサイトやコンテンツを検索エンジンの検索結果で上位に表示させるための戦略と手法です。
SEOの基盤となるのは、ユーザーが検索エンジンで入力するキーワードやフレーズを理解することです。キーワードリサーチを行い、業界やニッチに関連するキーワードを特定します。キーワードを適切にサイトに組み込むことで、ニーズに対してコンテンツを最適化できます。それにより、ユーザーに有益な、情報価値の高いコンテンツを提供して、自社サイトへの流入を促します。コンテンツの質向上はユーザーエクスペリエンスの向上にもつながります。
SEOは、一度効果を発揮しはじめると、継続的な効果を得られる施策です。適切に最適化されたコンテンツやリンク戦略は、長期間にわたってアクセス数を獲得し続け、安定した結果をもたらすでしょう。

・ブログ記事の作成

企業のウェブサイトに関連する情報や業界のトレンドについて定期的にブログ記事を投稿し、検索エンジンからの流入増加をねらいます。
新鮮味のあるテーマを使うことで、幅広い層からの注目度を高め、潜在的顧客層の拡大を狙います。

・ソーシャルメディアマーケティング

Facebook、X(旧Twitter)、Instagramなどのソーシャルメディアプラットフォームを活用して、企業認知度やブランドの存在感を高めます。フォロワーとのコミュニケーションを通じて顧客の関心を引きつけながら、関係構築に役立てられます。

・コンテンツへのオファー設置

自社サイト訪問者に向けて、付加価値のあるコンテンツ(例えば、eBook、ホワイトペーパー、無料のツールなど)を提供することで、リードを獲得します。自社の商品、サービスの有用性をさりげなくアピールできれば、事業の成果につながるでしょう。

アウトバウンドマーケティングの施策手法例

・飛び込み営業

アポイントメントなしで企業訪問を行い、興味や関心を引き出す伝統的な手法です。対面であるため、話を聞いてもらえれば、アクションを引き出せる可能性が高まります。

・テレマーケティング

電話で潜在顧客に直接アプローチして、製品やサービスを紹介し、購買の契機をつくる手法です。資料の送付や訪問のチャンスを獲得します。

・電子メールマーケティング

既存の顧客やリードに対してメールを送信し、プロモーション、特別オファー、新製品情報などを伝える手法です。オウンメディア、LP(ランディングページ)へ直接誘導が可能です。

・ダイレクトメール

ダイレクトメールを使用して印刷物やカタログを郵送し、顧客の注目を引き出す手法です。一度に伝えられる情報量が多く、手元に置いてもらえるため、長期にわたる効果が期待できます。

・マス広告

テレビやラジオ、折込広告を通じ大衆にブランドや製品を宣伝し、認知度を高める手法です。幅広い層への認知拡大に効果的ですが、広告費用負担が大きくなる傾向があります。

・ポスター広告

ポスター、看板、フライヤーなどを使用して、物理的な場所で広告を表示し、地域の顧客にアプローチする手法です。効果は限定的ですが、設置場所の近隣に対して存在をアピールするのには有効です。

・プレスリリース

報道機関やメディアへの情報提供を通じ、広く情報を発信します。費用を抑えながら、告知を拡大するのに役立ちます。

インバウンドとアウトバウンドを効果的に使い分けよう

インバウンドとアウトバウンドには、どちらのアプローチも一長一短があり、状況によって適切な戦略が異なります。企業は、自身の目標、ターゲット、予算、業界に応じて、最適なバランスを見つける必要があります。両方のアプローチを組み合わせて総合的なマーケティング戦略を展開することで、相乗効果が期待できます。

いずれの手法を採用するにしても、自社の商品・サービスの顧客となる層を明確にすることが重要です。その際に軸となるのは信頼性の高い顧客情報です。

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2023年11月執筆

インバウンドとアウトバウンドを効果的に使い分けよう
インバウンドとアウトバウンドを効果的に使い分けよう

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