2023年8月28日

ABMとは?BtoB戦略の先鋭化に向けて基本的知識と効果、進め方を解説

最終更新: 4月12日

 ABM(アカウントベースドマーケティング)は20年ほど前から知られているマーケティング手法ですが、近年再びよく耳にするようになりました。ABMとはどのような手法であり、なぜ今になって注目されているのでしょうか。今回は、ABMの基本的な考え方と再注目されている背景、これまでのマーケティング手法との違いやメリット、進め方について解説します。


         ABMとは何か


 ABMに関する基本的な知識を解説します。

ABMの概要

ABMとは「Account Based Marketing」の略称で、BtoBマーケティングの手法のひとつです。

従来の広告やマーケティング手法では、大量の顧客に向けてメッセージや広告を展開するのが一般的ですが、ABMではひとつの企業に特化したマーケティングを実施するのが特徴です。具体的な方向性としては、特定の企業に対して個別に戦略を立て、各企業に合わせたマーケティング活動を展開します。

ABMの目的は、ターゲットとする企業に対して個別に最適化したアプローチを行い、売上やLTVを最大化することにあります。

ABMが注目される背景

ABMは、現代のビジネス環境に適応したマーケティング手法として注目されています。ABMが重視される背景には、以下の社会変化が存在します

個別化の重要度が上昇

現代の市場は個別化や多様化が進んでいます。そのため、多様化した顧客ニーズや要求に対応することが、近年におけるマーケティングの重要なトレンドのひとつなのです。

BtoBマーケティングの複雑化

BtoBマーケティングでは、顧客の購買プロセスが複雑化する一方で、大きな取引が多く見られます。いわば優良顧客である重要な企業に集中し、よりターゲットに合わせたアプローチをとることで、経営に貢献できると考えられます。

マーケティングソリューションの進歩

マーケティングオートメーションツールやデータ分析ソフトウェアなどを用いるデジタルマーケティングの技術(ソリューション)は日々進歩しています。顧客データの収集やセグメンテーション分析などにより、それぞれの顧客に合わせたコミュニケーションが容易になりました。こうした技術の進歩が、精度の高いABMの実施を可能にしています。

・顧客ロイヤルティの重要性の高まり

新規顧客の獲得コストは、一般に顧客維持コストよりも高いといわれます。競争激化が著しい時代にあって、既存顧客を維持することの重要性が一段と増しています。ABMでは、特定の企業との関係構築や顧客ロイヤルティの向上に焦点を当てるため、顧客と長期的な関係性を築くうえでの有効策となります。


     デマンドジェネレーションとの違い


 デマンドジェネレーションも、BtoBビジネスにおいて主要なマーケティング手法として知られています。ABMとデマンドジェネレーションでは、アプローチ方法や焦点が異なります。双方の違いは以下のとおりです。

ABM

顧客アカウント(企業)ごとに詳細な分析を行い、特性やニーズを把握します。その後、営業リストの作成、顧客に合わせたコンテンツの提供、個別の営業活動などを通じて、該当アカウントに焦点を当てたマーケティングを展開します。

ターゲットを特定の少数企業に絞り、企業内のキーパーソンとの接点を増やすことで、各企業との関係を深めていきます。

デマンドジェネレーション

見込み顧客(リード)の開拓から開始し、新規のリード・潜在顧客の獲得からインサイドセールス、メールなどの活動を行い、自社に興味のある顧客を絞り込む流れとなります。

マーケティングの過程において、優良顧客候補の選別が行われます。

【特徴の比較】

重要な顧客やクライアントを獲得したい場合や、既存の重要顧客の関係を強化したい場合には、ABMが効果的な手法です。一方で、より広範な広告メッセージの受け手に向けて需要を喚起し、広く見込み顧客を獲得することを目的とする場合は、デマンドジェネレーションの手法を用います。


ABMのメリットとABMを実施すべき企業


 ABMでもたらされるメリットと、ABMの活用に適している企業について解説します。

ABMのメリット

ABMを実施することで、以下のようなメリットを得られます。

・高度にパーソナライズされた戦略の実施

特定の企業に焦点を当てるため、個別の顧客ニーズや要求に合わせたアプローチが可能です。強く顧客の関心を引きつけられ、関係構築やエンゲージメント強化の実現へとつなげられます。

・高いROI(投資対効果)

ターゲットとする企業に絞ったマーケティング活動を行うため、リソースを分散させず効率的に活用できます。厳選した企業をターゲットとすることで、高いROIが見込め、収益の最大化が期待できます。

・長期的な関係性構築につながる

特定企業との関係構築に重点を置いた活動を実施し、個別化されたアプローチを提供することにより、顧客の満足度やロイヤルティ向上が期待できます。顧客のニーズに合わせたサービスや製品の提供を通じた信頼獲得によって、長期的な関係性の構築が可能となります。

・社内の連携強化

ABMは、マーケティング部門とセールス部門の協力を促進するためのフレームワークとしても機能します。特定の企業に対する情報を共有し、統一した戦略とアプローチを実施するものであるため、社内部署の連携が強化され、効果的なセールスプロセス実現への体制づくりに貢献します。

ABMを実施すべき企業

ABMを実施することで大きな効果がもたらされるのは、以下のような企業です。

・大きな取引額が見込めるターゲット企業をもっている

・今後大企業との取引を増やしたいと考えている

・商材が複数あり、アップセル・クロスセルの展開が可能である

・すでに顧客データの蓄積が十分にある

・マーケティング部門とセールス部門の連携に課題があると感じている

 上記のような企業では、ABMに必要なベースが整っており、現時点での課題をABMの実施で改善できると考えられます。

反対に、小規模の企業を幅広く対象としている、製品やサービスが一般的で特定企業にアプローチしにくいといった場合には、ABMが十分に機能せず、利益の拡大につながらないおそれがあります。


ABMを進めるステップ


 ABMの進め方について紹介します。

1. ターゲットの特定と評価

はじめに、対象とする顧客アカウント(企業)を特定し、重要度や潜在的な価値の評価を行います。

この過程では、顧客アカウントを選定し、それらのアカウントに集中的にアプローチするための営業リストを作成します。ABMの成功の可否は、このリストの精度にかかっているといっても過言ではありません。そのためにも、入念なリストの整備やデータクレンジングが非常に重要となります。

新規顧客の獲得に取り組む場合は、質の高い法人リストを購入するのも有効策のひとつです。

2. 特定企業の理解とセグメンテーション

ターゲットとなる企業について、ニーズ、課題、目標、意思決定プロセスなどの情報を把握します。複数のアカウント(企業)を同時にターゲットとする場合、項目ごとにセグメント化することで、共通のアプローチをとることも可能です。

3. 具体的なアプローチ内容の策定

先の情報に基づき、ターゲット企業のニーズや関心に合わせたアプローチのチャネル、メッセージ、コンテンツを策定します。

4. マーケティング・セールス活動の実施

確定したアプローチ内容と実施計画に従い、ターゲットに合わせたマーケティング活動を展開します。具体的には、メールマーケティング、広告、ソーシャルメディア、イベント、セミナーなどが一般的に考えられる手法です。

セールス部門では、マーケティング部門が提供する情報やリードを活用し、ターゲットに対して個別の営業活動を展開します。

5. 効果の測定と評価

ABMに限らず、マーケティングでは効果測定と評価による方向性の修正・更新が重要です。ABMでは従来のマーケティング手法での評価に加えて、営業活動の成果も統合して分析します。

評価では、以下の要素がポイントとなります。

・商談回数の増加

・意思決定者・キーパーソンとの接触状況

・既存顧客のLTV

・新規顧客獲得数

評価の結果から改善点と修正案を検討し、より着実な成果を目指します。


 


ABMを取り入れて大きな成果につなげよう


 ABMはターゲットとなる企業を絞り、より的確に、より高い効果をねらうマーケティング手法です。大口企業のリストを保有している場合や、自社の商品やサービスの品質と付加価値に自信をもつ企業であれば、ABMによる成果が期待できます。ABMを通じてマーケティング部門とセールス部門間の連携強化が実現するため、将来に向けた収益向上の体制づくりにもなります。自社の状況を見極め、優良顧客との永続的な関係構築をかなえるABMの有効性を検討しましょう。

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※2023年3月末現在

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2023年8月執筆


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